第一幕 旅立ち

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街を覆う魔法障壁が無くなれば、たちまち魔物の巣窟と化してしまうだろう。 この街、プリマヴェーラはユリクにとって故郷のようなものだ。 それに、キャサリンやレンドといった友人もいる。 ピュアの放った言葉がハッタリかどうかはわからない。 ユリクは深くため息をつくと、重い腰を上げて黒の少女を追って出て行く。 明るくなりかけている靄がかった空の下には、まだ薄い青色の結界が存在していた。 「やっと出てきたわね」 ピュアが腕を組んで仁王立ちしている。 満足そうなニヤケ顔が付属していた。 「言っとくが、一緒に行くつもりはねえよ」 「ふーん。ハッタリだと思ってんの?」 冷笑をそのままに両手を上空にかざすピュア。 すると、その色白な掌を淡い赤色の光が包んだのだ。 それに呼応するように上空の膜が波打ち始める。 「マジ……かよ」 ユリクは驚愕によって目を見張った。 相対する少女の手が更に眩しく輝く。 このままだと本当に結界が消えてしまうかもしれない。
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