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先程まで飲んでいた酒によって、頬が紅潮しているが本人にとってはいつものことだ。
仕上げに忘れ物が無いか部屋を見渡す。
足の踏み場もないほど散らかった部屋に、我ながら呆れのため息が漏れた。
最後に壁に立て掛けてある剣を取り、腰に差す。
剣術は自信があるわけではないが、それなりに心得ている。
のっそりと家を出たユリクは、傾きかけている日差しを手で遮りながら仕事場へと歩いていく。
石造りの家々が立ち並び、石畳によって舗装された歩道脇には桃色の花を咲かした木々が植えられている。
初見ならば見とれてしまうほどの風景であるが、ユリクにとっては見飽きてしまっている為、無表情でのそのそ歩いていく。
歩くこと十分程。
こぢんまりした酒場で足を止めた。
『キャサリン'sBAR』という看板が掲げられている。
ここが彼の仕事場なのだ。
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