2人が本棚に入れています
本棚に追加
美青年といってもいい整った顔立ちをしたレンドは、微笑をそのままにユリクの隣りへと腰を降ろした。
「今日も依頼なしか?」
「まあな」
目を合わせずに放つユリク。
「もういっそ、何でも屋なんかやめてここで働いたらどうだ?」
「はあ? 誰がこんなしょぼくれたバーで一生働くかよ」
ユリクが吐き捨てた瞬間、オカママスターから鋭い眼光を感じたが、スルーしておく。
その後数時間、何人かの客が来店した為、ユリクも酒を運んだり、それなりの仕事をこなした。
そしていつも通りの時間で店を後にしようとするユリク。
「あんた……いつまでこんな生活続けるつもりだい?」
キャサリンの低い声がユリクの足を止めた。
「さあな」
投げやりに言い残してユリクは逃げるように店を出る。
ひんやりとした風が頬を撫でた。
すっかり暗くなった街をゆっくり歩いていく。
上を見上げれば、黒い空に薄いブルーの膜が幻想的な雰囲気を出していた。
やがて自宅に到着し、ドアノブに手をかけたその時、妙な気配を背に感じた。
最初のコメントを投稿しよう!