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「どういうことだよっ!」
放課後。走り去るように帰宅した私を、追いかけて来た涼太は人の家だというのにお構い無しにバタバタと階段を駆け上がる。
そして、驚いた顔のお母さんに挨拶もなしに私の部屋の扉をバンバンと叩いた。
確かに幼なじみだし、この家にも頻繁に出入りはしているけれど親しい仲にも礼儀あり。
家の中まで追いかけて来ないで欲しい。
〈何かあったの?〉
ベッドで寛いでいた先輩も、ただならぬ雰囲気に飛び起きる。
「……ちょっとね」
昼休みの出来事は、瞬く間に美樹と涼太の耳にも入ったわけで私はこうして逃げることを選んだ。
ガチャリと鍵を施錠すると、ベッドの上に倒れ込む。
「おい! 開けろよ!」
「涼太君。どうしたの?」
「加奈が立て籠った」
お母さんと涼太の会話を聞きながら、私は目を閉じる。
美樹は今日はバイトだ。
しかし涼太は予定がないからとこうして追いかけて来たのだけれど、これからどうしたものか……。
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