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〈ねえ? 一体何があったの?〉
と、心配そうに私を見つめる先輩に真実を伝えるかどうか悩む。
……しかし、いつまでも黙ってはいられないだろう。
学校に行けば嫌でもその話題が耳に入るだろうし。
「……実は、あなたの彼女に叩かれました」
〈え!? あの野口って言う人に!?〉
「……うん。まあ、私が余計なことを言ったのがいけなかったんだけど」
〈余計なこと?〉
「……あまりにも憔悴し切っているように見えたから、少しでも元気が出ればと思って……。先輩は、あなたを見守ってるって。もしかしたら、あなたの側で笑っているかもしれませんよ……。で、これ」
と、私は少し赤くなった頬を指さした。
すると先輩は、溜め息を吐きながらヤレヤレと首を横に振る。
〈……加奈っぺ。だからいつか詐欺に合うって言ったでしょ?〉
「詐欺じゃない。叩かれたの! あなたの彼女、何て怪力なの? それに意味がわからないんだけど」
〈何が?〉
「この前、二人で観に行った映画あるでしょ? 先輩はきっと一人で観に行ったか、もしくは翔先輩と沙耶先輩意外の人と行ってるはず」
「そうなの?」
「うん。なのに沙耶先輩は先輩と一緒に観たと、何故か嘘をついた」
〈え。何で?〉
と、先輩は思いっきり怪訝そうに顔を歪める。
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