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鍵を外し扉を開けると、涼太が部屋に雪崩れ込んでくる。
「お、お前! いきなり開けるなよ!」
そして、そのまま床に胡座をかくと腕を組んで私を睨み付ける。
「で、話せよな。事の全貌を」
と、フンと鼻を鳴らす姿に溜め息が漏れる。
……しょうがない。話すしかない。
「実は、先輩がいるの」
「はあ? 先輩って?」
「楢崎拓斗先輩」
その名前を聞いた瞬間、涼太は忙しなく瞬きをする。
「……いるって。……どこに?」
「この部屋」
「はあ? お前、それ笑えないぞ?」
「別に、笑って欲しいわけじゃないけど」
ジッと涼太の目を見据えると、眉間に皺を寄せながらゆっくりと口を開く。
「病院、行ったのか?」
「病気じゃないから」
「いや。いないはずの人間が見えるのは間違いなく病気だろ」
「だってさ?」
と、隣にいる先輩に視線を映すと苦笑いを浮かべている。
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