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〈野口っていう人も、笹倉って人も何か変だよね〉
「うん。話してみて沙耶先輩は明らかに変だった」
「え? 先輩は何て言ってるんだ?」
「翔先輩と沙耶先輩は何か変だって」
「変?」
「うん。涼太は知ってる? 大切なキミ達に出来ることっていう映画。日曜日に先輩と観に行ったら、先輩は前にその映画を観た事を思い出したの。だけど、翔先輩は先輩がその映画を観たいと言っていたことは知っていたけど、観たことは知らなかった。それを沙耶先輩に聞いてみたら、沙耶先輩は観たことがないのに一緒に観たと、バレバレな嘘をついた」
「何だよ。それ」
「だから、変なんだって」
「ちなみに、その映画ってどんな内容なんだ?」
「これ」
立ち上がると、私は机の引き出しの中から取り出した映画のパンフレットを涼太へ差し出す。
「何だよこれ。めちゃくちゃ切ないじゃねえか。先輩はこれを一人で観たのか?」
「今の所、一人か。もしくは、翔先輩や沙耶先輩以外の人と観た可能性がある」
すると、涼太は腕を組んだまま目を閉じている。
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