キミの彼氏

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 __リリリッ。  鳴り響く電子音を軽く叩くと、私はゆっくりと起き上がる。 「……あれ?」  そして、すぐに気づく。  __いつもと、違うということを。  見慣れた部屋は味気なくて、使い慣れたベッドは冷たい。  __これは、いつもの朝じゃない。 「……先輩?」  私はベッドから飛び起きると、部屋中を探し回った。  ……なのに、先輩がいない。 「加奈! あんた何を朝から騒いでるの!」 「……お母さん。先輩を見なかった?」 「先輩? 誰か泊まってたの?」 「違う……」  ……泊まっていただけじゃない。一緒に暮らしていたのに。  黙りこんだ私を見てお母さんが溜め息を吐く。 「……全く。いつまでも寝ぼけてるんじゃないのっ」 「……寝ぼけてる?」  ……私。寝ぼけてるの?  ……先輩と過ごした日々は、夢だったってこと?
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