プロローグ

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 さらりさらりと流れる川に沿った、日影に伸びる細い通り。都内でありながら柔らかい風が抜ける街。新しい生活を始めるにはぴったりの場所だ。 『ここに決めてよかった。』 「本当に?」 『うん。本当に。』 陽に透けた彼の明るい髪が、視界の片隅で揺れる。弓江が立ち止まると、その数歩後ろで距離を保つように彼の足も止まった。 「俺に決めてよかった?」 『‥そっちは?  私に決めて  本当によかった?』 「よかったよ。  "これから"の弓江の隣に  俺がいれてよかった。」 風になびく長めの前髪からのぞく、全て吸い込んでしまいそうな瞳。弓江はこの人の隣を歩いて行こうと決めた。 『私ほんとに  あなたが好きよ  ‥誰よりも。』
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