14人が本棚に入れています
本棚に追加
「申し訳ありません申し訳ありません……ラルゴル様がここまで鼻をお痛めになっていると知りながら、わたくしはお早く気付くことが出来ず……」
サリーはうつむき、「うっ、うっ」と泣きはじめてしまった。
「良いのだ良いのだ、サリーはいつも私に良くしてくれておる」
サリーの耳にはラルゴルの言葉は届いていない。
「これでは、……もう、………きですね。ムフフ」
いつの間にか、なきまねが含み笑いへと変わっていた。
だいたいサリーは泣かない。
ロボットなのだ。
「ん?何か言ったか?」
急な変貌に嫌な雰囲気を禁じ得ないラルゴル。
「…おっ……『お仕置き』って言ったんです!!ラルゴル様!! ムチですか?ロウソクですか?縄ですか??サリーは、サリーめは、どんなお攻めにも耐えられる覚悟と準備があります!」
ウフ、ウフフ……と、にやけながらサリーは、ラルゴルにジリジリと歩み寄っていた。
いつの間にかその手には縄とムチが握られている。
「ま、待つのだサリー!何回も言うが、そこまで私は考えておらんっ!!」
迫りくる狂気に、ラルゴルは素早く間合いをとった。剣で鍛えた強靭な脚力は一瞬でサリーから4、5メートルほどの距離をあける。
このやり取りはいつものことだがやはり慣れない。
「あっ、ラルゴル様どうして逃げるのですか?あっ、分かりました♪またいつもの『おあずけ』プレイなんですねっ♪今日はそうはいきませんよ♪うりゃぁぁぁ☆」
とはいえ相手は戦闘用ロボ。
サリーはニコニコしながらものすごいスピードでラルゴルを追いかけ始めた。
「ぬおおおぉ!!」
追いかけっこはワープアウトまで続いた。
ルビィの兄、ラルゴル
そして、その元専属使用人サリーの魂が宿るロボット
二人の次の目的地は『地球』。
最初のコメントを投稿しよう!