―嘘の定義―彼女の嘘と僕の真実

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正直その後の記憶がない。休み時間ごとに携帯を開いてたのは覚えてる。でも何を検索したのかまったく覚えていない。授業内容なんて尚更だ。 景色が矢のように……って表現があるけど、その時間版。気づいたら放課後になっていた。 有名な少女が僕に話しかけたせいか、何人かの視線が刺さるけど、それを気にせずいつものように教室を出て階段を駆け上る。 心なしか足取りは軽い。 いつものように鉄製の重い扉を開けば、眼前にはこれまたいつものように大空が広がる。キンモクセイのようなオレンジ色の空が…… 少女は既にいつもの場所に立っていて、その真っ黒な長髪を風に靡かせていた。 扉の開閉音に反応したのか、入って来た僕を見るなり 「遅いよ。女の子を待たせちゃダメでしょ? 」 ダメ出しした…… 「ご、ごめん」 とりあえず遅れたのは悪かったと思い素直に謝る。後で考えると時間の指定はしてないから遅れた事にならないと思う…… 「よろしい」 素直に言ったのが良かったのか、少女は今まで見たことのない位可愛いらしく笑った。 「あ、あの、何でいきなり? 」 内心その笑顔にドキドキしながらもとりあえず呼び出された理由を聞いてみる。 「うーん」 少女は考えるように人差し指を唇に当てて、少しの間黙り込む。僕は黙って少女の言葉を待ちながら、空を見ていた。だって少女を見ていたらドキドキしてマトモに話せなさそうだから…… 「あのさ、少年は嘘をついた事ある? 」 長い沈黙の後、少女の口から出た問いは、今まで悩んでた事が不思議な位答えるのが簡単な問いだった。  
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