―嘘の定義―彼女の嘘と僕の真実

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少女は成績が良い。いや良すぎる。入学直後から成績順位は常にぶっちぎりで1位。一説では教師よりも勉強が出来るとか……嘘だと思えない所がまた質が悪い。 おまけに容姿端麗、スポーツ万能。親は誰もが知ってる有名企業の代表。誰がどうみても人生の勝ち組だ。 でも、少女と友達と呼べるような関係の人は僕しかいない。 容姿は中の中。髪は少女と同じく真っ黒。目は少し細め、背は高くもなく低くもない。 成績は下の中。苦手科目は英語。得意科目は無し。 運動は中の上。どの競技もそこそ出来るけど突出して出来る競技は無し。 親は一般的な企業に勤めるサラリーマン。こんな日本全国どこにでも居そうな人間。そんな僕だけが少女の友達なのだ。 自分でも大変不思議である。嫌ではない。 だが少女に友達がいない。その理由は分かっている。偉そうに言ってみたが、少女と関わった人間ならだれもが知っている事だ。別段凄い事でもない。 何故少女に友達がいないのか―― 理由はしごく単純。少女が『正直』だから…… 正直で何故友達がいないのか? だって少女は正直すぎるんだ。  
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