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そんなことを考えていたらベットの方で小さい声が上がった。どうやら目が覚めたらしい
「目が覚めたみたいだね。大丈夫かい?」
「・・・・・・ここは?」
「お兄さんの家だよ。大丈夫かい?どこか痛くない?」
「・・・・・・た」
「た?」
「・・・・・・確かワシは光秀に裏切られて火の海に居たはず・・・」
「(何言ってんだろ?この子)」
まさか衝撃で頭を?そう思って頭に触れようとすると―――――
「触れるでない!この無礼者がぁあ!」
彼女は拒否と同時に俺の首筋に何かをくっつけた。横目にそれを見るとそれは―――――
「(どっから出したんだ!その小刀!)」
ドスとでも言うのだろうか、小さめの刀が少女の手の中にあった。それを俺の首筋につけて後ろから俺を鋭くつり上がった目で睨み付けている
「ワシの服を変えなかったのが失敗じゃったな、おぬし」
確かにこの子を受け止めたときメチャクチャ衝撃があったし、運ぶときも重いと思ったけどあの高さから落ちてきたら衝撃だってすごいだろうし、運ぶのも俺が貧弱だからだと思っていた。だけどまさか刀を持ってたとは・・・・・・・・・
「あ!分かった。それレプリカだな?まったくお兄さんをからかわないでくれよー」
「れぷりか?何じゃそれは。この小刀ならおぬしの首など容易く・・・・・・」
「ハイハイ分かった分かった。だからお兄さんに貸してごらん」
「あ、貴様!」
俺は警戒もなく小刀の刃のとこをつかんだ。そしたら血が出た。手のひらがスッパリ切れてる・・・・・・あっれぇ?
「何やっとる。自分から刃の部分を掴んだりして。貴様は阿呆なのか?」
「あー!絆創膏絆創膏!」
半泣きで救急箱から絆創膏を取り出して血を止めてから張り、改めて少女に向き直った。少女は小刀を俺に向けながら睨んでいた。俺は深呼吸をして落ち着いたところで質問した
「・・・・・・ところで君の名前は?」
「ワシの名前を知らぬと?仕方がない。教えてやろう!」
少女は小刀を向けたまま、ニヤリと笑った。その時、少女の口から出た言葉に俺は耳を疑った
「ワシの名前は織田信長である!」
これが俺と信長さんの出会いだった
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