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老人はさっそく、カラクリ人形を作り始めた
ろくに眠りもせず食事もせず
自分を急かし
力の限り
想いの限り
魂の限り
老人はカラクリ人形を作り続けた
何日も何ヶ月も時は過ぎ
カラクリ人形は完成した
「お前に名をあげよう
Amour
愛、だ
私は皆に嫌われるが
私の作ったお前はきっと
きっと皆に愛される
皆を楽しませ
愛されるんだ」
老人の心は希望の光に満ち溢れ
「明日になったら、お前を町に連れて行ってやるからな」
老人は疲れ果てた身体を、久しぶりにベッドへ横たえた
老人は夢を見た
Amourと共に町の子供達を、その親達、皆を笑顔にする夢を
Amourを作り始めた頃からずっと
ずっとずっと何度も繰り返し見た夢だ
そして老人は
深い眠りについた
永遠の、深い眠りに
老人の魂は
Amourのために
燃え尽きたのだ
幸せそうに微笑む
老人の寝顔
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