読書感想文~東野圭吾氏『白夜行』~

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
東野圭吾先生の『白夜行』を拝読致しました。 以下ネタバレを含みます。大丈夫な方だけスクロールを。 率直な感想から申し上げますと『暗く、根深く、重い作品』だと感じました。 物語の始まりから程なく、殺人事件が起こります。 ミステリーの始まりです。 容疑者も浮上します。 しかし、チラチラと犯人の影を見せながらも、捕まらないまま、物語は約20年の歳月を過ごして行きます。その間に犯人と共謀者(作品内の言葉をお借りするなら『共存者』)は罪を重ねて行きます。周りの善良な人々を利用し、貶めながら…。 読者はその様子をただ傍観するしかありません。 不安な気持ち、時効が迫る焦り、また誰かが貶められたという落胆。そして『必ずそこに何かが有るはずなのに薄暗くて良く見えない』という白夜の中を歩くような歯痒い気持ちを抱きながら…。 こんな風に書くと『読みたくなくなるのでは』と思われるかも知れません。 しかし、『白夜行』は読者の『怖いもの見たさ』を擽るような、『見えそうで見えないもの』を見事に表現されています。800項を超える長編ですが飽きさせない力があります。見事に東野圭吾先生の筆に翻弄されました。 登場人物に向かって『あぁあ!!もぅ!バカバカッ!騙されてはダメ!!』と何度思ったか分かりません。思わず声に出してしまいそうになったのもしばしばです。見事に『白夜』に入り込んでいました。 ここにもまた一人、『天才』がいるということを知ることが出来た作品でした。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!