泣いたおっさん

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・・・そんな気持ちでいたのか、アリアは・・・・・・そんな・・・・・・強い気持ちで・・・ ・・・・・・俺は・・・俺は・・・ 溢れ出る涙。 とめどなく流れ続ける。 止める気なんておきない。 「・・・ぐぅ、くっ、俺はさ。卑怯なんだよ。 女房子供の所に帰る。 そのために利害が一致しただけの関係。 だからアリアに何かあって、俺もヤバかったら、 絶対に逃げる。 そう決めてたんだよ。 だってさ。 帰ればもう、お前ら関係ないから。 二度と会わない奴らだから。 だからさ、お前と戦った時も、あわよくば恩に着せるつもりで、 結局は自分のために戦ってたんだぜ。 お前の優しさ、気付いてたから、それを利用して、 それに甘えて勝った。 いや、勝たせてもらった。 利用して、利用して、利用して、ポイ捨てするつもりだったんだよ。 心の奥底で心を凍らせてきた。 そうやって、別れに自分が傷つかないように、 逃げてたんだ。 ごめん。ごめんな。」 ふさっ。俺の身体を包む純白の羽根。 頭、なでられてる・・・ 「・・・大丈夫。大丈夫。 私をね。あんまり舐めちゃダメです。 あなたの葛藤、伝わってました。 でもね。 そんな冷たい人間になろうとしても、無理なんですよ。 それこそ、ばっかみたい。なんです。 もう、私は勝手に決めました。 裏切られようが冷たくされようが笑われようが怒られようが、私はあなたの旅を見届けます。 ずっとついて行きます。 だって・・・ 拾った以上責任取らなきゃ。でしょ?」 女神の微笑。 「・・・ありがとう。俺も誓うよ。 俺はお前を守り抜いて、そして、帰る。」 「・・・そんなのダメですよ。あなたの優先順位は、奥様と子供の所に帰る事。 私の事なんてそこに並べちゃ絶対ダメ。」 「・・・間違ってたんだよ。 大切なもんに優先順位なんてないんだ。 絶対に帰る、絶対に守る。どっちも俺にとって大切なもの。譲れないものなんだよ。 仲間を踏み台にして帰るんじゃなく、 協力してくれた仲間を守り通して帰る。 そうじゃなきゃ、俺は胸張って帰れないよ。」
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