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こちらに背を向け、コピー機と向かい合っている男には目もくれず、棚からコピー用紙を取り出しにかかる。
取り出すのに手間取っていると、物音に気付いた柿坂が驚いた様子で振り返った。
「うぉ?! いつからいた? びっくりさせんなよ……」
「お疲れ様です」
「んー? 機嫌悪そうだな」
「ええ、おかげさまで」
「何? 俺のせい?」
「……さぁ?」
「えー……宜しければ今夜も愚痴に付き合いましょうか?」
「必要ありません。お断り致します。どうぞ、可愛いい女の子と愉しい夜のひと時をお過し下さいませ」
「あー……企画の伊出ちゃん?」
無意識なんだろうな。
自分の声がワントーン上がり、顔が僅かに微笑んでいることに柿坂自身は気付いていない。
私の中の苛立ちが大きさを増し、ミシミシと音をたて始めた。
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