200人が本棚に入れています
本棚に追加
「……田島が敵意剥き出しにするの珍しいな?」
「そう?」
「お局になるにはまだ早いと思う」
「ウルサイ。どうせ私は誰にも可愛がってもらえないお局様ですよーだ」
「……別れたばっかりでイライラするのは分かるからさ、お局モードで攻撃するのは俺だけにしとけよ?」
「……う、う……ん」
「ぶはっ! すっげー嫌そうな返事」
「……もう戻る!」
「はいはい。また綺麗な顔でボクチャンをイジメに来てねー」
軽いノリと口調の裏側に垣間見えた、彼の優しさ。
それになんて言葉を返せばいいか分からなくなった私は、逃げるようにその場を後にするしかなかった。
無意識に力がこもり、胸に抱えたコピー用紙がぐにゃりと形を変えるのも気付かないほどに、私は、言葉も、
――自分自身も見失っていた。
最初のコメントを投稿しよう!