第弐章

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「ハルキさんは、人がお嫌いなのですか。」 「何故?」 「何故って。私が勝手にそう思ったので訊いたまでです。」 「横暴だなあ。」 ハルキは笑いました。 「―――・・・・・・・地獄はあると思います。」 ハルキが笑うのをやめました。 「あの時訊きたかったのは、こちらの方でしょう。」 「君は鋭くていけないね。」 「やはり止します。」 「ああ、お互いの為だ。」 ハルキはまるで別人の様でした。私はハルキの目の届かない本棚の陰へ移動しましたが、結局は書庫の外へ出て泣きました。 恐ろしい波に飲み込まれる寸前が如き心持ちであったのです。 そして手洗い場で、すっかり紅くなってしまった眼に気付き、上気した体を落ち着ける為にも少し散歩をして書庫に戻りました。  
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