第弐章

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「僕は人を殺した。」 ハルキの顔には自嘲の色が浮かんでいました。 「埋めてあるのは自宅の庭だよ。」 私は何か言おうにも、声が出ませんでした。 ハルキは続けます。 「六年前、」 「待って下さい。」 「怖くなったかい。」 「何故、それを私に話すのですか。」 「何でだろうね。」 自嘲の色は濃くなりました。 「僕と居るとき、君は常に何かを庇っているように見えるね。」 「庇うものなど」 「ない事はないだろう。」 まるで狂人のような口振りからは想像出来ない程、ハルキは落ち着いていました。 「庭を、見においで。」 私は言葉に従いました。  
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