第弐章

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ハルキの家は古く、決して広いとは言えませんでした。 ですが、所々置かれた調度から察するに、前はもっと広い屋敷に住んでいたのではないかと思います。 居間には大きな窓があり、花も植えられず、雑草だらけの荒れ果てた中庭がよく見えます。 この窓は扉の様になっているので、開けば庭へ行くことが出来るのでしょう。 二人とも終始無言で、窓越しに庭を見詰めておりました。 ハルキは突然、錠を開け、がらがらと建て付けの悪い窓を開きました。 そして私を残したまま、庭へ降り立ち、言いました。 「よく、視ているがいい。」と。 青い庭が、直ぐさま黒い土に覆われていきました。  
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