61人が本棚に入れています
本棚に追加
ハルキの家は古く、決して広いとは言えませんでした。
ですが、所々置かれた調度から察するに、前はもっと広い屋敷に住んでいたのではないかと思います。
居間には大きな窓があり、花も植えられず、雑草だらけの荒れ果てた中庭がよく見えます。
この窓は扉の様になっているので、開けば庭へ行くことが出来るのでしょう。
二人とも終始無言で、窓越しに庭を見詰めておりました。
ハルキは突然、錠を開け、がらがらと建て付けの悪い窓を開きました。
そして私を残したまま、庭へ降り立ち、言いました。
「よく、視ているがいい。」と。
青い庭が、直ぐさま黒い土に覆われていきました。
最初のコメントを投稿しよう!