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私は何度も、ここから立ち上がり、走り去って行く幻を見ました。
今ならまだ間に合うのです。
病的な月は、今はまだ、息を潜めているのですから。
――カアァァ
直ぐ間近で、鴉が鳴きました。
ハルキの注意が刹那、そちらへ向けられた事を、私は見逃しませんでした。
頭の後ろにハルキの視線を感じましたが、気付いた頃にはもう、外の道を走り出しておりました。
太陽は断末魔の悲鳴を上げながら、山に呑み込まれていきます。
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