第参章

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気が付くと家ではなく、姉の下に居ました。 夜の世界の姉は冷たく、ただ不吉な光を浴びているに過ぎませんでした。 家の者が私を心配しているに違いありません。 私はゆるりと墓場の出口へと視線を向けました。 出口の方には井戸があります。 昼の世界にも、夜の世界にも属さない闇を湛えた底無しの世界。 その井戸の精を見ました。  
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