第壱章

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ハルキの腕や背中には、幾つもの傷があります。 何か事故にでもあったものか、はたまた・・・。後者については、よしや事実であろうと信じたくはありません。 斯程に美しい人間を傷つける者が居るとは、どうも思えないのです。 私が「痛そう。」だと言うと、「そんな事は無い。」と言い、何故斯様な傷があるのか、これ許りは決して語ってはくれません。 曖昧に笑うのみなのです。 詮索は私の嫌うところであるので、事実訊いたのはたった一度だけです。 懐かしや、私とハルキが出逢ってまだ間もない頃です。  
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