第壱章

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「君は天国というものが、あると思うか。」 「ええ。」 ハルキの声はがらりと暗い調子に変わり、「そうか。」と呟きました。 静寂はより深まったように思えました。 どこかの家で泣いている赤ん坊の声さえ聞こえて参ります。 私は何か侵してはいけない領域にいるような背徳的な気分に突如として襲われました。 ここから今すぐ立ち去らねばならないと、理性が警鐘を鳴らしていますが、 その一方で甚だしくこの空間に惹かれている自分自身を感じていました。 しかし、ふと私は自分自身と最もよく折り合いのつけられる妙案を思い付きました。  
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