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司自身、秀一郎は兄のような…そんな存在。
手を差し伸べれば背中を押し、優しく暖かく見守ってくれる。
秀一郎から感じるそれも、同じようなものを感じる。
と、ぼぉっとそんなことを考えていると、向かいに座る更科がちょいちょいと手招きした。
ハイハイ…と腰を上げ、テーブルを周りゆっくり更科の隣へ座る。
座ったと同時に、肩に少し重みがかかった。
「ふふ…よっぽど疲れたの?」
「…疲れた。」
顔に更科の髪がふわりとかかる。以前より少しだけ伸びて、だけど相変わらず清潔な良い香りが鼻をくすぐる。
…最初…
こんな風に始まったんだなぁ…
あの時は不可抗力だったが、同じように肩に頭を落とし寝てしまった更科にかなり慌てた。
思えば、あれが始まり…
そして今それをこうして当たり前のように甘えられ、受け入れている自分を誰が想像しただろうか──。
司は更科の腕を少しだけずらし、その間に自分の腕を絡ませた。そして更科の頭にもたれかかるようにして、自分の頭もコツン…と預ける。
あぁ…この瞬間…
好きだなぁ…
絡める腕に力を入れて気持ちが良さそうにしていると、突然肩からスッと重みが消えた。
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