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「………?」
咄嗟に見上げると、瞬時に口を塞がれた。
軽く重ね合わせるだけの唇に応えるように身を委ねる。
そして唇を僅かにだけ離し、吐息すらかかるその距離で更科が呟く。
「…癒して。」
「………どうやって?」
「………………こうやって。」
そしてまた…
熱を帯び段々と深く求める口付けに、以前よりはうまく応えられている…と、思う。
静かな空間の中、湿った音を響かせて歯列をなぞる。
「…ん…ぅ…」
更科がふと体ごと唇を離し、司の顔を覗き込んだ。その際…本人は無意識なのかわからないが、更科は自分の唇をぺろりと舐めた。
…え…えろい…
こんな時、いつもまともに更科を見られなくなる。
見つめる視線が
かかる吐息が
触れる指が…
全て…熱い。
普段鋭く優しい眼差しが、途端に獲物を狙う甘いものに変わる。
その真っ直ぐに向けられる視線が恥ずかしくて、未だにあまり直視できない。
しばらく司の顔を覗き込んでいた更科だが、ゆっくりとその沈黙を破った。
「……司。」
「…な…に…」
「…前から…気になってたんだけど…」
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