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それは未だ消えぬ羞恥心から。正直そんなに経験があるわけでもなく、だからこそ余計に自分の声が聞こえるのが恥ずかしくて色々我慢してしまっていた。そもそもそんな乙女な自分がキモい…
実際その…我慢はバッチリ見抜かれていたわけなのだが…
一気に凹む。それを気付かれ、挙げ句気にさせてしまった自分が情けない。治まらぬ顔の火照りのせいで更科の顔も見られない。
今、彼はどんな顔してるかな…
呆れたかな…
情けないのと恥ずかしいのとでそう思い少し涙目になっていると、突然ぐいっと顔を持ち上げられた。
大きな両手で両頬を挟まれていて逃げ出せそうにもない。
そして上げた目線の先には、更科の顔。
ほぼくっつきそうな程間近に迫ったその距離で、恥ずかしい。恥ずかしいのに…真っ直ぐに向けられる更科の視線から…逸らせない。
いやにドキドキした胸を抑えながら、その甘く見つめる瞳を窺う。
と、更科がやけに色っぽく微笑んだ。男の人に色っぽいなんて変かもしれないが、本当にそう思ってしまうのは致し方ない。
段々その色香にあてられ、うっとりとしてきた頃…更科が口を開いた。
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