LOVE

18/18
前へ
/107ページ
次へ
「良かった…。」 「…え?」 「…嫌…なのかと…」 半ば安心したように、少し自嘲気味に笑う更科の顔を見て胸が締め付けられる。それだけは違う。 「嫌なんかじゃ…!ただ…ホントに恥ずかしくて…」 言いながら次第に俯きそうになるその顔を、更科は逃がさないようしっかりと上を向けた。 「まぁ…ちょっと優しくしすぎてるかな?わかった、これからは…覚悟しとけ。」 その衝撃的な発言と艶っぽい笑みに、また心臓がびくんと跳ねた。 更科のその余裕っぷりが悔しくて、精一杯の照れ隠しと強がりに「いじわる…」そう呟く。 しかし更科はクスクス笑って司の手を取った。 「どうする?俺は別に…ここでも良いけど。」 いたずらっぽく瞳が光る。余裕で返したいのに咄嗟の反応に戸惑い結局顔を赤くして終わる。 そんな司をさておいて、「でも腰悪くしたら困るから。」そう言って無理やり引っ張り上げられた。 「こ…虎太郎さ…!」 「さっき邪魔されたし。ちょっと限界かも。ま…悪いようにはしないから。」 「~…!」 しっかりと手を握られ強い力で引っ張られていく。だけど痛くない。嫌じゃない。 こういう時は素直に従う。それが精一杯できる意思表示だ。 そんな二人の余韻を残して… 静かに静かに扉は閉まった──。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6007人が本棚に入れています
本棚に追加