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結局、この時の失恋を機に何かに気付く。そしてそれは年を負うごとに、誰かをまた好きになる度にはっきりと…そして明確に。その形を露にしていく。
『良い友達』『親友』
そんな言葉が欲しいんじゃない。
だけど
好きになった彼が見つめる先には別の誰かがいて。挙げ句相談なんて何の拷問。
そうして大学生活にも慣れてくる頃には、自分の恋など忘れ去っていた。
しかたも…始め方すら覚えていない。
───…恋ってどうやってするんだっけ──…?
「…緒…!美緒!」
「…え?」
「もぅ、どうしたの?急にボーっとして。」
ハッと我に返る。司の声に一気に現実に引き戻された。司はやや心配そうな、不安そうな顔で美緒を覗き込んでいる。
どんだけタイムスリップしてんだ私は。
「具合悪い?」
さっき買ったアイスコーヒー。やたらと握り締めすぎて中の氷が溶けている。
「あーごめん、ただボーっとしてただけ。」
「ホントに?大丈夫?何か思い詰めたような顔…してたから。」
そんな今更顔に出るほど何を考えてるんだろうと苦笑。ふと思い出した昔話。何年も経ってもう何とも思っちゃいないのに。
「ごめんごめん!」
ほら、笑って。
もう大丈夫。あんたたちのことは心から祝福してる。本当だよ。
だから幸せになって。
私の──…
分まで─────…
fin
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