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──ぶっちゃけ、物心ついた時から自覚はしていた。
自分はモテる。
父はどちらかと言えば二枚目だったかもしれないが、母は比較的普通。そんな両親の良いところを多く受け継いだんだと思う。
しかも父は社長。
顔良し、金良し、そうきたらあとは…性格。
しかしカミサマはやはり正直だ。どうも性格だけは一丁前に捻くれもの。
挙げ句頭が良かったので口が回る回る。大の大人でさえ舌を巻いたほどだ。
そんな、子どもだった。
しかし、彼には唯一の弱点があった。
────司。
彼女がまだ2~3歳の頃だったか、隣の空き家に家族で引っ越してきた。
当時5歳くらいだった秀一郎にとっては衝撃的な出会いだった。
何とも愛らしいくるんとした目に、小振りな鼻と口。初対面なのに口角はきゅっと上がり、惜し気もなくその愛らしい笑顔を振りまく姿は、本当に天使が降りてきた…そう思ったほど。
そして近所に他に小さな子どもがいなかったこともあり、なんと彼女のお兄さんとして仲良くすることになる。
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