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急に真顔で黙る秀一郎は珍しくはないが、普段そうあることもないので身構えるのが癖になっているようだ。 更科はまた何か変なことを言い付けられるのではないかと内心冷や汗をかいていた。 そんなことは知ってか知らずか…いや、知っているだろうが秀一郎はちょいちょいっと小さく手招きした。 こちとら長年片想いを募っていたのに、それをいとも簡単にあっさりと掠め取られたのだ。 歳上の…凛々しい部下。 兼、秘書。 よくよく考えたら何で俺がこいつを庇ってやんなきゃなんねーんだよ。 と、悪態を吐いたところでもう遅く… 秀一郎のフォローと、更科が本来持ち合わせていた才能のおかげで今またぐんぐんと力を付けている。 更科は少し挙動不審になりながら、恐る恐る秀一郎に近付いた。 「…ねぇ、」 「…何だよ。」 「…やっぱり司ちょ「無理。」 「………。」 "ちょうだい"そう言う前に投げやりな返答。 このやり取りも何度したことか…今回も言い切る前に更科が被せるようにして遮った。 そんな更科は、何だ…いつものこれか…といったような呆れた顔をして背を向ける。 …非常に…ムカつく。 「…更科くん、これ、今日中に判子と確認ね。」 え…と更科が振り向いたその先には当て付けに、高さ10センチはあるのではないかと思われる程の書類の山が…見事に出来上がっていたのは言うまでもない────…
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