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「───…で?何、まだあんた司が好きなの。見かけによらず結構女々しいのねぇ…」
秀一郎はグラスを持つ手に少しだけ力を入れ、はああぁぁ~…と、深い深いため息を吐いた。
「…まぁ…半分…かな…」
「半分て、何が。」
「いやーだってさ、俺ホントにずーっと好きだったからさ。そう簡単に諦めつくわけじゃないし、かと言ってもう何かしようなんて思ってない。脈がミジンコ程もないことくらいわかるし…」
「…はぁ…」
ほの暗い店内。所々に小さなランプが灯り、静かに囁き合うカップル達がムードに包まれイチャついている。
目の前にはそれぞれが頼んだウイスキーとカクテルが並び、小さいお洒落なグラスの中で波打っている。
ここは秀一郎が密かに気に入っている店で、あまり知り合いに会わない。だからこそ気に入っている。
この店に連れを…ましてや女なんて連れてきたのは初めてだ。
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