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「で、でも何で急に13時からってなってたの?」
固まって動かない更科をフォローしようと、司は話題を変えて2人に向き直った。
そんなことはわかっていただろうが、あえて2人は何も言わずに返事をくれる。
「だって…疲れるじゃない、荷物運ぶの!」
それはそれはもっともなことを言われ逆に返答に困る。
当たり前ではないか、だからこそ人手を頼んだと言うのに…
秀一郎も今初めて聞いたその理由に、呆れも混じった笑顔で美緒と司を見比べた。
「…美、美緒…?どちらかと言うとその運ぶのを手伝って欲しかったんですけど!」
「こんなか弱い乙女にゃ持てないわよ!まぁまぁもう終わっちゃったみたいだし?さっさと荷解きしちゃいましょ!」
固まる他3人を急かすかのようにパンパンと手を叩く。秀一郎もやれやれ…といった様子で2人は靴を脱ぎようやく家に上がった。
それからは硬直の解けた更科含め4人で、どんどん段ボールをひっぺがしていく。
衣類は全て寝室に運び込み、本や食器などはまた綺麗にしまっていく。
気が付けば大半の段ボールが空き、空の段ボールの山ができていた。そして窓から射し込む光がもう赤い。あっという間に日が沈みかけている。
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