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「…ふぅ…大分片付いた…かな?」
「だな。4人でこれだけ出来れば上出来だろう。2人共、助かった。」
「いえいえ、俺の司のためですから~」
昼のことは水に流し素直に礼を言う更科に対し、秀一郎の発言は聞き捨てならない。
司はぎょっとした顔で秀一郎を見、美緒は「あらま」と口を手で抑えチラリと更科を伺い見る。
当の本人は穏やかな顔をしているもんだから内心穏やかではない。更科は一瞬ギクッと肩を震わせ…
「…お前!まだそんなこと…!」
と慌てて詰め寄っていく。
そんな姿を見れば司はだらしなく緩む頬を隠すのに必死だし、そんな様子にもちろん気付いている美緒は司に気付かれないようクスクス笑ってしまう。
「やぁだな~更科さん、司は俺の妹みたいなもんなんだから~そんな神経質にならないでよ!まぁ一応婚約した人を奪うような不粋な真似はしないって!」
「く…っ!」
アハハーと笑い更科を軽くいなす秀一郎。
歳は下でも柔軟な対応ができる分、秀一郎の方が一枚も二枚も上手だ。
もちろん職場でも更科はこうして振り回されているのだろうと容易に想像がつく。
顔の赤くなった更科と司の反応を見て楽しんでいるだけだ。柔らかい雰囲気を持つくせにやることはSっ気満載。秀一郎と美緒はまたケタケタと笑っている。
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