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秀一郎と更科は実際会議でしか会ったことはないのでお互いの力量は知らない。
そして同じ会社で働きその仕事ぶりを見ることになったのだが、確かに専務という役職に恥じない手腕だ。
いかにもその柔軟な発想で臨機応変に動き回り、七光りとは誰からも言わせない立派な次期社長候補。
しかし…この柔らかすぎる考えの下好き勝手に動き回るもんだから手に負えない。
秘書でさえスケジュール通りに動いてくれない秀一郎には白旗を挙げた。
時にはいつの間にか会社の外へ出ていた、なんてことも珍しくなく、その破天荒っぷりも有名なほど。
仕事も出来人当たりも良いから…彼だからこそ許されていると言っても過言ではない。
女子社員はそんな秀一郎を見てキラキラとした化粧と視線で、ギラギラと社長夫人の座を狙い、男性社員たちは憧れと羨望の眼差しで彼を見る。
もっとも…そんな彼に憧れてくれるな…と思うのは父と更科の2人だけ。
そして結局手に負えない息子を、これまた訳ありでしかも秀一郎が引き抜いてきた更科に押し付ける…と言うのは定石で…
しかも更科はうまかった。
ことごとく秀一郎の行動範囲、動きを予測し秀一郎をセーブするもんだからますます更科に任せられる要因となった。
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