プロローグ

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じっとこっちを見ている 俺はもう一度聞いてみた 『なんで海の中にいるの?』 すると女の子は恥ずかしそうにうつむいた 『…だって……』 …パシャン 水の中から出てきたのは魚のしっぽ 俺は目にしている光景に驚いて何度もまばたきをした 『…人魚…さん?』 紛れもなくそれは人魚だった 俺が驚いて何も言えないでいるとその子が呟いた 『…花火が見たかったの』 『花火…』 『あたしのこと誰かに言う?』 その子は不安そうに俺を見上げた 俺は首を横に振った 『言わないよ。そのかわり、君の歌を聞かせて』 『そんなことでいいの?』 俺は力強く頷いた
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