16人が本棚に入れています
本棚に追加
じっとこっちを見ている
俺はもう一度聞いてみた
『なんで海の中にいるの?』
すると女の子は恥ずかしそうにうつむいた
『…だって……』
…パシャン
水の中から出てきたのは魚のしっぽ
俺は目にしている光景に驚いて何度もまばたきをした
『…人魚…さん?』
紛れもなくそれは人魚だった
俺が驚いて何も言えないでいるとその子が呟いた
『…花火が見たかったの』
『花火…』
『あたしのこと誰かに言う?』
その子は不安そうに俺を見上げた
俺は首を横に振った
『言わないよ。そのかわり、君の歌を聞かせて』
『そんなことでいいの?』
俺は力強く頷いた
最初のコメントを投稿しよう!