第一章 余命宣告

2/5
125人が本棚に入れています
本棚に追加
/54ページ
待合室で母と父が泣いている。 私はただそんな2人を見下ろす事しか出来なかった。 何れは死ぬと分かっていた。 その時期が早まっただけの事。 生まれつき体が弱い私は諦めがついていし泣く理由もなく先程医者に言われた言葉を思い起こす。 医者は言った。 何度も余命を宣告したであろう口で、まるで最初から原稿があったかの様に淡々と語った。 訳の分からない用語を並べ取り繕う様に説明を入れる。正直そんな事耳に入って来なかった。 でもたった一つの言葉は違った。 意味も説明も要らずに理解できる簡単だけど重い言葉。 「余命…一年です」
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!