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江戸の吉原……
表通りに面した部分に、二階から朱色の格子を構えるのを大見世と言う。
大見世に並ぶ遊女達は、上級遊女ばかりで、中見世を中級遊女、小見世を下級遊女を格を別にして並ばせ、客は、自分の懐と相談しながら遊女を選ぶ。
その吉原に、松川屋と言う妓楼があるのだが、その妓楼に、吉原二大巨頭とも呼ばれる花魁がいた。
妓楼同士が客寄せに競争する中で、松川屋の大物2人は、誰もが認めるほどの花魁だった。
1人目を揚羽<アゲハ>と言う。
背は高く美しい容姿と艶やかさを兼ね備え、涼やかな目元に、一瞥されれば、誰もが頬を赤く染めると言う。
2人目を緋暮<ヒグラシ>と言う。
背は低く可愛らしい容姿と初々しさを兼ね備え、愛くるしい容姿に微笑まれれば、誰もが春の陽気に漂わされ、口元が緩んでしまう。
しかし、この2人……対象的なのか、歳が同じなのかは知らず、仲は悪く、何かと問題児であるために、松川屋の楼主も頭を悩ませていたのだった。
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