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キラキラと、色めかしく彩る町には、今夜も色を楽しむ為に、甘いひとときを過ごす賑わいとは、別の、何かが壊れたような音が、松川屋の一部屋から鳴り響く。
ガチャンと鳴り響き、壊れたのか、何かをひっくり返したのか……
「ぎゃぁぁー!!」
松川屋の一部屋から、音の叫び声が上がり、周りの部屋から遊女や客が、何の騒ぎかと廊下に出る。
騒ぎの声を聞き、楼主<店長>と遣り手<ヤリテ>が、遊女や客を掻き分けて、騒ぎの原因となる部屋の襖をスパーンと勢い良く開ける。
「揚羽!!また、お前かい!!」
遣り手が叫び、部屋の中を見れば、膳で運ばれて来た食事や、徳利などが、全てひっくり返っており、尚且つ、揚羽と呼ばれる遊女は、客であろう腰の抜けた中年の男の腹に片足を乗せて、胸ぐらつかみ睨み付けいた。
その周りを、揚羽が面倒を見ている禿<カムロ>や新造<シンゾウ>達がうろたえていた。
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