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そう言い切ると彼女は一度あげた顔を紅潮させ、再度俯くのだった。
幼い頃から彼女と彼女の兄とで何度も遊んでいた。
いつも後ろをとてとてと着いて来る彼女の愛らしさは、筆舌に尽くしがたいものがある。
しかし決して流される訳ではなく、自分をしっかり持って行動する彼女は輝いていたし、正直惹かれた。
そんな彼女から告白されたのだ。
嬉しくない訳はない。
しかし同時に信じ難くもあった。
「あー……本気か?」
戸惑いながら問いかける。
彼女は躊躇もなく何度も頭を上下させた。
実に困った、と痒くもない頭をかく。
すると彼女は不安そうに表情を歪め、じっと見つめてきた。
「春は……カナの事……嫌い……?」
「そんな事はない!」
咄嗟に口から出た言葉に自分でも驚いた。
彼女は一瞬表情を綻ばせたが、直ぐに再度引き締めた。
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