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カーテンの隙間から、秋の静かな日差しが私の顔に差し込む。
同時に少し寒く感じる風が、私の頬を撫でた。
意識が微睡みから現実へと、少しずつ変わっていくのを感じながら、私はそっと目を開いた。
目の前に広がる、目に優しいクリーム色の天井……間違いなく私の部屋だ。
「っー……久々だな……自然と起きるのは……」
私の名前は中宮春。
白神高校に通う、極普通の女子高生だ。
小さく伸びをして、上半身を起こす。
少し肩が重い。
まだ大きくなるのか、と自分の胸を軽く撫でた。
にしても、なんで今日はいないんだろうな、と不意に窓を見た。
……そこで違和感に気づく。
カーテンも窓も閉めて寝た筈なのに、日差しが私の顔に当たり、頬を風が撫でるなど有り得ない。
なのに……何故今はどちらも半開きなんだ……?
そこまで思考していた時、視界の端で何かが動いた。
それは私の衣服の山。
それも昨日まではなかった筈のものだ。
私は恐る恐るそれに近付く。
私の部屋ではあるが、こんなにも自分の預かり知らぬ事が連発しては、安心感等微塵も感じられない。
しかし私はやらないで後悔するより、やって後悔したいと思う。
私は勇気を振り絞り、衣服の山のひとつ、黒のパーカーに手をかけた。
ふぅ、と小さく一息。
そして私は一気にそれをめくりあげた。
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