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因みに武司は秋山家の長男で、双子の兄。
そしてその双子の片割れは……。
「すきありぃっ!」
「させるかぁっ!」
突然背後から伸びた手を右に飛んでかわし、そのまま右足で勢いをつけて左足を軸に反転。
その勢いのまま、右腕を背後に叩き込んだ。
「あべしっ!」
腕をモロに顔面にくらったそれ……秋山彼方は変な悲鳴をあげて床にゴロゴロと転がった。
「毎日春は俺の妹と楽しそうだな」
「そう思うなら眼科と精神科に行く事をオススメしとく」
私はそう言ってから顔を洗うべく、洗面所へ向かうのだった。
「ふぅっ……」
水はもう大分冷たく感じるようになってきた。
そのお陰か、大分身が引き締まる。
春先……彼方に告白されてから、毎日のように付きまとわれている。
朝起きたらいるし、襲われかけたのも星の数だ。
まだファーストキスを守れているのが、不思議なくらいに。
しかし、私が素っ気ない態度をとるからだろうか。
段々と彼方の行動が、エスカレートしていってるような気がする。
「まったくやれやれだ……」
そう言って小さく溜め息を吐いた。
その時、洗面所の扉が静かに開いたのだった。
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