プロローグ

8/11
前へ
/24ページ
次へ
「……なぁんてな」  思わず自嘲気味に笑う。  なんだかんだ言って、モテる奴も大変だ。女子に囲まれて動けなくなったり、面倒なときに絡まれたりその他もろもろ。  プラスの方に傾くとは、今のところ一切思えない。  純一の奴も、大層愛想よくやっていると思う。 「さて……」  定刻までは、あと二時間。  ゆっくり買い物をして帰っても、三十分ほどは余裕をかましても準備が出来そうだ。 「今日は肉じゃがにしようかなー」  ふと脳裏に過った、甘辛く香ばしい匂いのあの料理。  それは俺が初めて作り――そして、初めて人に食べさせた料理でもあった。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加