3、突然の訪問者

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その日の昼 廻李たちはリビングへ集まった。 楓は悠に連れていかれ、買い物へ出掛けている。 「さて、これからどうします?萩君。」 廻李が両手を組んで壁に寄りかかり椅子に座ってプリンをつついている萩をみて ため息混じりに呟いた。 「楓が男ってバレないように頑張るしかねぇだろ…。」 「どうやって?」 「…女装させたままでいればいいだろ。」 「風呂一緒に入る、とか言われたら終わりですよねー?」 雷がぽつりと呟くと 萩が"だよなー…"と珍しく困惑したような表情をうかべた。 「なんか作れねーの? 女の体になる薬とか、おっぱいができる薬とか。」 頭をガシガシと掻きながら雷に訪ねる 因みに雷は変な薬を作るのが得意なのだ。 "動物の話がわかるようになる" だとか "人の気持ちを読めるようになる" とかあり得ないものをつくっては 廻李たちで試すのが雷の趣味だったりする。 「勿論ありますよ?でも…。」 楓がしゅん、と顔をしたに向けぼそぼそと呟く 「女の子にするのはつまらないじゃないですか…。」 ………。 「「 は? 」」 「ですから! 楓さんは女装してるんですよ? なのに、女の子になったら女装じゃなくなっちゃうじゃないですかっ!! それじゃあ…つまらないじゃないですか!!」 二人はにこりと優しく微笑み、雷に近づくとぱちんと頭をたたいた。
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