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「こらー!待ちやがれ泥棒鳥ィ!」
昼の市場に響く低い声。
「旦那の所もやられたのか!」
「お前の所もかっ!あの泥棒鳥…生かしちゃおけねぇ!何処行きやがった!?」
ドタドタと走る足音が辺りに響く。
「…行ったみたいじゃのぅ。」
羽の生えた紅の少女が呟く。
「まったく。真昼間から泥棒なんて…度胸あるわね…」
フードで顔が見えないが恐らく美形の少女(?)が呆れながら言う。
「昼は泥棒じゃなくて…」
フード少女は懐から何かを取り出す。
「こっち_でしょ。」
少女が取り出したのは男物の財布。
「『すり』とか言うヤツかのぅ?」
「…まぁね。」
「それもスリルがありそうじゃのぅ!『すり』だけに。」
「面白くないわよ。」
あっさり切り捨てられる羽少女。
「ところで貴方、その羽…コスプレ?」
フード少女が羽少女の羽を指差す。
「『こすぷれ』じゃ無いわっ!これは本物の『はね』じゃ!」
「あー黙れ黙れ。見つかるから。」
「お前が聞いたんじゃろ…」
羽少女が溜め息を付く。
「_んで、貴方何者なの?」
「ん?『にんげん』と『ふぇにっくす』から生まれたフェンロと申す。」
「フェニックス…不死鳥の事ね。…で、貴方の仲間は?」
「質問攻めじゃのぅ…まぁ良いが。…仲間はおらん。私一人で来た。」
(何処から来たかは聞かないでおこうかしら…面倒だし。)
どうせ遠い星とかだろうとフード少女は自分に言い聞かせた。
「そう。貴方一人なんだ。」
フード少女は袖口から縄を取り出す。
「高く売れそうね。」
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