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少女と褌一丁の男が出会っていた頃、屯所では騒ぎになっていた。
「近藤さんの行方が分からねぇだとッ!?」
煙管(キセル)を吹かしていた男、鬼副長で名を馳せる土方は、近藤が行方知れずと報告に来た永倉を睨み据えた。
「家に行ってみたんだが、姿がなくてな。
近所の人に聞いたら、かなり泥酔してたらしい…」
知り得ている近藤に関する情報を伝えるが、それでは行方知れずとは言えないと、溜め息を吐き出す土方。
「酔っ払って、どっかの道端でも寝てるんだろ」
泥酔した近藤がよくやる事だと、たいして気にも止めない土方は、永倉に向けていた視線を書簡に移す。
「でも、真冬だぜ?
泥酔してたら尚更、近藤さんを探した方が良くねーか?」
確かに…と、永倉の言葉に思案し始めた土方。
「確か…、
総司と平助が巡察だったな…」
隊の巡察表を取り出し呟く土方に、静かに頷く永倉。
「お前は、二人に近藤さんの事を伝えてくれ。
後で、手の空いている隊士を捜索に回す」
土方の指示に従い、永倉は部屋を飛び出した。
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