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煙管を置いた土方は、静かに立ち上がり部屋を出た。
「斎藤、居るか?」
「はい」
部屋の奥から小さな返事を聞き、襖を開けた土方。
襖を開けただけで中に入ろうとはせず立ち尽くし、部屋の中央に座る斎藤を見る。
「非番のところ悪いが、近藤さんが行方知れずらしい。
頼まれてくれるか?」
「御意。
副長命令とあれば、嫌でも引き受けねばならぬまい…」
近藤さんを探しに行くの、そんなに嫌なのかよ…。
快く引き受けたッ!的な、従順な部下の雰囲気を出す斎藤だが、「せっかくの非番の日に何してくれとんのじゃッ! クソ局長このやろー」と、モロ顔に出ている。
当の本人は、自分がそんな嫌そうな顔をしているとは思っていないのか、澄ました顔で近藤捜索に赴いた。
「悪りィ事したな…(汗)」
斎藤の意外な一面を見た土方は、非番の日に斎藤に頼み事をするのは極力避けようと、心中で密かに誓った。
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