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藤堂と沖田に近藤の事を伝えに屯所を出た永倉は、道行く人に近藤の事を訪ね回っていた。
「ゴツイくて、見た目がムサ苦しいオッサン見なかったか?」
「いや、見てねーよ」
「そうか。
ありがとうよ」
だが、目撃情報すら掴めない。
本来の目的である藤堂と沖田の元に向かった。
遠目からでも分かる新撰組独自の浅葱色の羽織が見える。
淡い栗色の髪を頭部の上で結った、幼い顔立ちの沖田に駆け寄る永倉。
「総司ッ!」
「新八さん!
どうしたんですか?
そんなに…、慌ててはないか」
「近藤さんが、またやらかしたんだよ。
で、巡察ついでに探せとよ」
永倉の言葉を聞いた沖田は、可愛らしい顔を歪めた。
「え、何で? 何で僕が探さなきゃならないの?」と、言った感じに、不服を顔いっぱいに顕(あら)わにした。
「またですか~。
近藤さんには、お酒を控えてもらわないと…」
「平助にも伝えてくれよ。
オレも、心当たりを探してみるからよ!」
沖田の心底嫌そうな顔には触れず、近藤捜索に向かった永倉。
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