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巡察組の沖田、藤堂、永倉、非番の斎藤が市内を隈無く探したにも関わらず、近藤の行方を掴めなかった。
日は暮れ、月が出ては静まり返る京の街を照らす。
「これだけ探しても見付からねぇとなると…、
嫌な考えしか浮かばねぇな」
ひょっこり何事もなかったように近藤が屯所に顔を出すモノだと、どこか期待していた土方。
近藤が姿を現さないとなると、いらない不安が募るばかり。
「仕方ねぇ…、
俺が探しに行く」
「一人で、ですか?」
腰の帯の間に愛刀を挿す土方に訪ねる沖田。
昼間、あんなに嫌な顔をしていた沖田だが、日が暮れても帰って来ない近藤が心配になったのだろう。
昼間の巡察で疲れた体にムチを打って、土方に同行すると立ち上がった。
「なら、俺も行こう」
すくっと立ち上がった斎藤。
それに続くように、藤堂、永倉、原田と立ち上がる。
そんな彼らを見て、「あんたは、こんなにも慕われてる…」と、行方知れずの近藤に向かって呟く土方。
「原田、藤堂、永倉は、別の道を探せ。
総司、斎藤は俺に続けッ!」
指示を出す土方に各々返事を返し、屯所を出た。
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